大分県における「手話サークルの指針」について
平成30年1月11日
今まで、県手連に加盟せずに自主的に活動している手話学習者集団に対しては、県聴覚障害者協会は強い指導をせずに、容認してきました。
それは下記の理由からでしたが、社会情勢により方針転換の理由になりましたので、手話学習集団の皆様におかれましては、趣旨ご理解のうえ、ご協力をお願いします。
【自主的手話学習集団を認めてきた背景】
①手話学習者個々人が持っている学習権の尊重。
②憲法21条で保障された「集会、結社の自由」の尊重。
【自主的手話学習集団に対する方針変更】
①障害者権利条約の中で「手話は言語である」と公的に認められてきた背景を考えると、運動団体である県聴覚障害者協会は自主的手話学習者団体に対して、従来のような柔軟的姿勢でなく、確固とした指針を示し、共に歩む県手連への加盟を積極的に勧める方針に転換していきます。
今後、自主的手話学習集団等に対して「県手連」への加盟を積極的に働きかけていきます。
大分県内の手話学習集団は①~⑥に分類される
①県手話サークル連絡協議会に加盟している手話サークル
②県手話サークル連絡協議会未加盟手話サークル
③県手話サークル連絡協議会脱会手話サークル
④県手話サークル連絡協議会に加入した事のない手話サークル
⑤手話講習会修了後に自主的に手話学習会をしている団体
⑥自主的に手話学習を行い、手話講師の派遣を県協会に依頼している団体
1.大分県での「手話サークル」の定義について
手話の技術や聴覚障害者問題の学習を行っている自主的な組織である
個々人の善意の通訳活動が聴覚障害者福祉を阻害することのないように
十分に留意しサークル活動を進めることを基本にして活動してきました。
従って、聴覚障害者組織と連携して活動を進める「大分県手話サークル連絡協議会」(以下 県手連)に加盟しているサークルを手話サークルとみなしてきました。
県手連加盟サークルに対しては、研修会の案内や諸々の情報を伝えてきた経過があります。
自主的組織である手話学習者団体に対して、県聴覚障害者協会が県手連に加盟するように働きかける根拠は、「手話学習団体の活動が聴覚障害者の福祉に影響を与える側面を持っているからです。
県手連に加盟していない自主的な学習者集団は、当事者団体である大分県聴覚障害者協会と円滑な運動を進めることが難しいと思われます。
2.手話サークルの経過
手話サークルは昭和46年に大分市に結成され、現在では12市1町村16の手話サークルが誕生していますが、サークルは結成したものの定例学習会も円滑に行われておらず、活動が停滞しているサークルも見受けられます。
3.手話サークルの目的
手話学習を通して、聴覚障害者問題への理解を深めると共に社会啓発を行なうことにより、聴覚障害者の基本的人権の擁護と社会参加を推進することを目的としており、具体的には下記の取り組みを行なっています。
①手話を正しく学習し、手話普及と社会的な認知を促進する。
②聴覚障害者の生活・文化・歴史等を正しく学び、その知識を社会に還元する。
③聴覚障害者を含めた障害者の生活・権利の制約を正しく把握し、それをなくすための活動を行なう。
4.手話サークルの組織
手話サークルは、手話を学びたい健聴者の自主的な組織であり、その運営等は会員の合意を基本としています。
しかし、その活動が聴覚障害者福祉と密接な関係があるため下記の点について配慮していただきたいと考えます。
①聴覚障害者は聴覚障害者協会へ所属し、その運動に主体者として関わっていき、手話サークルへの参加は会員でなく協力者として関わっていくことが望ましいと考えます。
聴覚障害者を会員とした場合にサークルに入会していない聴覚障害者がサークルに自由に参加しにくい状況を生み出すことになり、ひいては一部の限られた聴覚障害者との交流にとどまることになります。
②一つの市町村に一つの手話サークルが望ましいと考えており、活動時間帯の違いにより、昼と夜とに分かれる場合はサークルの名称は同じにし、昼と夜の会員の交流促進と役員同士が定期的に協議する場を設けるように努めるようにする。
③手話講習会修了後の自主的な学習会等については、聴覚障害者福祉向上のために聴覚障害者協会と組織的に連携できる手話サークルへ加入し、活動を続けることが強く望まれます。