手話通訳活動に対しての基本指針
1.手話通訳者活動の報告書の扱いについて
①FAXでの送信で良い?……良いです
②必ず郵送する必要がありますか?……メール、FAXでも良いです
③報告書の提出は「ろう者に対する守秘義務違反」になるか?
次の通訳者への引き継ぎ事項のため、公的費用を使っているので業務報告は守秘義務違反でなく、通訳者としての義務です。
④報告書の管理について……データ管理と紙ベースの保管は責任を持って管理しています。
2.事前資料の取り扱いについて
事前資料は派遣元に必ず返す必要がありますか?
下記のア~オで対応してください
ア)主催者に返却する
イ)派遣元に返却する
ウ)通訳者の責任で破棄する ※パソコンにデータ送付した場合に保存の有無を確認できないため、通訳者の倫理として責任を持って各自が破棄する。
エ)資料の二次的利用は禁止です。ただし、公開された講演会の資料等については手話サークルの学習会での使用は認めます。
オ)特に企業関係の通訳についてはその場での返却が必要と考えます。
3.通訳者資格と報酬費について
通訳者の所持する資格によって報酬費が異なるように市町村に一律単価でなく資格によって報酬を変更するように要望しています。平成30年度から実施予定。
通訳者の意識向上し、ひいてはろう者福祉向上につながると考えます。
ア)手話通訳士:1H1700円
イ)大分県認定通訳者・全国手話通訳統一試験合格者:1H1500円
ウ)資格所持していない登手話録通訳者:1H1300円
4.通訳報酬費以外に主催者、依頼者から金品を受け取ること
ア)通訳労働に対する報酬以外は一切受け取らない姿勢を貫く
イ)特に商品券、図書券等は金券と判断し、確固として断る
ウ)大会等の記念品に類する物品も原則として受け取らない
エ)PTA、会議、大会時のペットボトル、茶菓子等の湯茶の提供について社会常識の範囲として、受けて良いと考えます。
※手話通訳者の社会的地位の向上のためにも上記の姿勢を貫くこと
通訳者全員が同じ姿勢を守れば「手話通訳者は一切物品を受け取らない」ことで主催者等に定着することを目指す。
※上記の点をあいまいにしてきたために通訳者に混乱を招いた面があったことを派遣元として反省します。
タオル、記念品は良いか、悪いか?の論議が不必要になるようにしたい。
通訳者が一切受け取らない姿勢を貫けば通訳現場で通訳者が判断しやすくなります
5.手話通訳者の「守秘義務」に対する考え方
ア)公開された講演会等について手話サークルで話すこと
※参加者のこと等について話すことは守秘義務違反ですが、講演内容等について話すことはサークル員への情報提供と判断して問題ないと考えます。
イ)手話通訳者の社会的地位の向上を目指していくためにも守秘義務の徹底を進めていく。
ウ)依頼者を尊重する姿勢を根本に考え、守秘義務を遵守していく土壌を作る。
6.手話通訳の業務整理
手話通訳業務とは何か? 手話通訳者の倫理は? 手話通訳の在り方について、全日本ろうあ連盟や関係団体等からも明確で具体的に示されていない。従って大分県聴覚障害者協会として当面の活動指針として「手話通訳事例集」を発行しました。
ただし、各種の事例はその場の状況や関係者によって対応が異なるのでマニュアル的な対応では「人間を相手にする手話通訳者の労働」としては適切でない問題も生じてきます。
ア)医療現場等で「通訳以外の業務」の業務を通訳者に依頼された時の対応はどうしたら良いのか?
イ)ろう者と聞こえる人とのコミュニケーションの仲介役としての業務のみで所期の目的が達成できるのか?
ウ)個々のろう者や通訳内容に応じて相談、支援をすべきなのか、その判断基準は何か?
エ)医療分野で通訳者が医療関係者に助言することは通訳者として適切なのか?
7.手話通訳者に対するろう者の意見を反映させるために
①手話通訳者の技術向上やろう者の意見を反映させることを派遣元は考えて取り組んでいきます。
②別紙のように通訳依頼者に対して通訳者に対する意見を派遣元が把握する責任があると考えます。
③通訳者に対して通訳終了後にアンケートを実施して、通訳者の「意識改革」を促していく。通訳者の「振り返り」を定着化させていく。