通訳指針②テレビ手話通訳に関する考え

テレビ通訳に対する考え

~標準手話」と「地域手話」の使い分けに関する考え方~

① 手話表現する場合に、類似した言葉でよりニュアンスの近い手話単語の選択を心がける。

② 講師の話している趣旨を把握できない時に「新しい手話」に頼ることが多く見られます。

③ 新しい手話を否定していのでなく、対象者に合わせて「地域の手話」と「標準手話を使い分けていく必要があると思います。

④ 特に、対象者が特定されていないテレビ通訳の場合は、手話表現がより幅広い対象者を想定した表現が必要と考えます。

⑤ 単語を手話表現する時に、その手話が居住地のろう者が日常生活の中で自然に使っており、地域に定着していると推測される手話である場合は標準手話を使うことは適切と考えます。

⑥ 最初から新しい手話を表現するのでなく、表現する手話単語の類似した「ことばの置き換え」で対応する能力を高めると努力することが必要と思います。

⑦ 表現しようとする手話が地域に定着していないと思われる場合は、手話の表現は当面の間控えるのが適当と考えます。

⑧ 手話の標準化に向けて、新しい手話の造語や普及定着活動は、手話通訳の場合は、地域での手話の定着度を考えて表現するように留意すべきと考えます。

⑨ ろう者の社会進出により、新しい手話が作られてきているが、ろうあ者の中にその手話が地域に根付くまで、手話通訳者は使用を控える必要と考えます。

⑩「新しい手話」普及と「地方の手話」の保存の考え方の整理。
新しい手話の普及は、標準手話の確定・普及に厚生労働省が手話研修センターに委託して取り組んでいます。
聴覚障害者の日常生活の便宜を図るため、聴覚障害者の福祉の向上を進めるために手話の研究開発を進めていることに対する認識と自覚を持つこと。

⑪ 基本的に地域で使われている手話を基本にして、情報提供をすることが手話通訳者の基本理念であり、新しい手話を多用しても地域で暮らしているろう者の生活に結びついていなければ、手話通訳の存在そのもの意義が疑問視されかねないと考えます。

⑫ 手話通訳者自身が大会等で手話方言と標準手話の使い分けについて迷いながら通訳していると思います。今後は、上記の考え方について基づいて通訳していただくことを希望します。