手話講習会おける「手話」の指導について
2006年の「障害者権利条約」で手話は言語であると明記された。
また、2011年8月には「障害者基本法」が改正定され「手話は言語に含まれる」ことも明記された。
日本における手話指導の近代の歩みは昭和44年に「私たちの手話1」が出版されたのをきっかけとして手話辞典の作成まで地道に手話と手話講習会の普及運動を展開し続けている。
その後、木村氏・市田氏から使われ始めた文化宣言以来「日本手話」という言葉が使われるようにっなってきた。
これは、「ろう者とは、日本手話という日本語とは異なる言語を話す言語的少数者である」との主張であり、「日本手話」と名づけたが難聴者、中途失聴者、通訳者を巻き込んで反発が出てきた。
また、文化宣言の中には、聴者は手話を身に付け得ない」という主張まででてきます。
上部団体である「全日本ろうあ連盟」は長年かけてきた手話普及活動を「日本手話」の啓発活動に取り組んでいるグループに否定された感は否めないのではないかと思います。
当協会も「日本手話」やろう者に通じる手話の学習自体を否定しているのではなく「日本手話」も全日本ろうあ連盟の今までの運動があったからこそ、理論的整理が可能になったものであり、全日本ろうあ連盟の主張している「日本の手話」は一つという整理」で十分と考えます。
しかし、一部の考え方で「日本手話」が勝る的な風潮は運動に関わる者としては如何なものかと考えざるを得ません。
特に懸念しているのは「手話講習会」「手話サークル会員」に対しての影響です。
当法人は全日ろう連のカリキュラムを基に手話講習会を指導しています。
また、以前の手話テキストと比べると、ろう者により通じる手話にテキストは改善されてきました。手話通訳者養成のテキストもしかりです。
今までの運動の上に日本手話が整理されてきたときたことを理解して、手話の普及や指導をお願いしたいと考えています。
一部講師の「日本手話」なるものの指導法が理論的に整理されたものでなく、「ろう者が日常生活で使っている」というレベルで指導するのでは、全日本ろうあ連盟 が築き上げてきた運動の経過を無視することになりかねません。
以上の状況から認定講師について当面の指針を出します。
①全日本ろうあ連盟の手話指導方針(カリキュラム)に基づいて指導を行うこと
②手話の指導法については現在も模索している段階であり、当法人は全日本ろうあ連盟の指導に従い、協会認定講師も同様である。
③法人は、より良い手話講習会を目指していくために、多様な考えを受け入れていくように努める。
④ただし、あたかも「日本手話」を指導するとの姿勢で講習会を担当することは慎むこと。
⑤手話講習会は一部の手話学習者のみの満足度向上を目指す場所ではないことを自覚すること。
⑥ろう者に通じるための手話の指導は長年の課題であり、短期間でできることではないことの自覚。
⑦「日本手話」と呼ばれているものを指導する際に、理論的に体系的な指導が可能なのかどうか検証していくことの自覚。
⑧検証がなく指導実践することは、蓄積されたろう者問題の啓発や手話運動をなし崩し的に崩壊させる危険があることを自覚。
⑨一部の手話技術力のみで手話講習会の指導をするのではなく、日本語と手話の置き換え能力について研鑽すること。
⑩組織としてのろう者集団の意向を把握して、自らが運動の中に加わり、聞こえる人たちの指導に参加していくようにすること。
平成27年12月13日